土地の境界と地籍調査に関する土地所有者アンケート結果

国土調査課(現・地籍整備課)では、平成20年度に全国の土地所有者の方を対象に、土地境界や地籍調査に関するアンケート調査を行いました。ここで、そのアンケート調査の結果をご紹介するとともに、土地に対する一般的な考え方、地籍調査に関する関心度などについて考察しました。

アンケートの方式

無作為抽出した全国の満20歳以上の者3,000人に対して、郵送によるアンケートを行い、回答のあった1,474人(49.1%)のうち、 本人もしくは配偶者が土地を所有している人、合計1,008人の回答を取りまとめました。調査は平成21年2~3月に実施しています。

問.所有している土地の境界は明らかになっていますか?

明らかになっている 92.0% 明らかになっていない 3.6% わからない 4.0% 無回答 0.4% アンケートからは、土地所有者の方のほとんどは、自分の持っている土地の境界は明らかであり、特に問題は無いと考えています。 全ての土地は、基本的には登記が行われており、このため安全・安心であると考えている人は多くいます。 しかし、地籍調査が行われていない地域では、登記所に備え付けられている、登記された土地の場所や形状を示す図面が正確ではない場合があります。 この場合、登記はされているものの、実際の土地がどこにあるのか、境界がどこにあるのかを公的に示す証拠が正確ではなく、 状況によっては、土地の境界が不明確となり様々な問題が発生することとなります。

問.登記所にある土地の登記簿や地図を見たことがありますか?

ある 58.5% ない 40.9% 無回答 0.6% 登記所にある土地の登記簿や、その土地の位置や形状を示す図面を、直接見たことがある土地所有者は意外と少ないことが分かります。 登記所に行ってこれらの情報を見ることは、通常の人は土地を購入したり、相続したりするときくらいしか機会がないことから、あまり行われていないのだと考えられます。土地所有者の方で約6割しかこれらの情報を見たことが無いことからすると、その他の人は、ほとんどこうした情報に触れる機会は無いと思われます。

問.あなたの土地は地籍調査実施済みですか?

実施済み 28.7% 未実施 26.4% わからない 40.9% 無回答 4.0% 自分の土地が地籍調査が行われているか知っている人は、意外と少ないことが分かります。「地籍調査」があまり知られていないことも原因の1つと思われます。また、地籍調査の際に設置された境界杭などが存在しない場合には、地籍調査が行われたかどうか、現地を見ても分からないこともあります。地籍調査が行われているかどうかについては、登記簿や登記所の図面を見れば分かりますが、上の問いでも分かるように、登記所の情報を見たことがある人は限られています。
地籍調査が行われていない土地では、必ずしも境界が明らかになっているとは限りません。
なお、「地籍調査実施済み」と「未実施」の割合は、現在の地籍調査の進捗状況とほぼ同じです。

問.登記所にある情報の半分は、明治時代の地図や情報を基に作成されているのはご存知ですか?

知っている 22.5% 知らない 77.3% 無回答 0.2% 地籍調査が行われていない地域のうち、多くの地域では、明治時代の地租改正時に作成された地図や情報を基として、登記に関する情報が作成され、現在も用いられています。このため、登記簿に記載された土地の面積が正しくなかったり、図面に記載されている土地の位置や形状が不正確であったりする場合があります。上の質問で、登記所の情報を見たことがある人が少ないという結果とも関係がありますが、こうした、登記所の情報の現状について、あまり広く知られていません。
登記所の情報が、決して正しいものではなく、古い情報が基となっているところも多く存在しており、こうした状況が土地トラブルなどの原因の1つとなっていることについて、もっと明らかにすることが必要です。