地籍調査をしないとこんな困ったことに

地籍調査が行われた地域では、境界や面積など、土地の表示に関する登記の情報が正確なものに改められます。またその情報を基に、土地の境界を現地に復元することが可能となります。この結果、土地境界をめぐる紛争を未然に防止できるばかりではなく、これに伴って土地取引の円滑化や土地資産の保全を図ることができます。逆に、地籍調査が行われていない場合には、以下のようなトラブルが発生することがあります。

1. 土地の境界が不明確であるため、土地取引等を行う際にリスクを抱えます

地籍調査が行われた地域では、境界や面積など、土地の表示に関する登記の情報が正確なものに改められます。またその情報を基に、土地の境界を現地に復元することが可能となります。この結果、土地境界をめぐる紛争を未然に防止できるばかりではなく、これに伴って土地取引の円滑化や土地資産の保全を図ることができます。逆に、地籍調査が行われていない場合には、以下のようなトラブルが発生することがあります。

  • 土地を購入し、改めて測ってみたら登記簿の面積と違っていた
  • 塀をつくり替えようとしたら、隣の土地の所有者から「境界が違う」と言われた
  • 相続を受けた土地の正確な位置がわからなかった

2. 都市再生への支障となります

都市再生や公共事業の円滑な実施への支障となります 土地区画整理事業や市街地再開発事業のような面的な開発事業、道路・街路整備、マンション建設などの民間開発事業など、様々な形でまちづくりを進めていく上で、土地の境界確認の作業が必要となります。しかし、地籍調査を実施していない場合には、特に都市部においては関係者が多数となることもあって、土地の境界確認完了までの期間が長期化する場合があります。また、土地の境界確認に要する多額の費用等を、事業を実施する者自身が負担せざるを得ないことから、土地利用やまちづくりを阻害する要因となります。

3. 災害復旧の遅れの要因にもなります

災害復旧の遅れの要因にもなります 災害が発生した場合、道路の復旧、上下水道等ライフライン施設の復旧、住宅の再建等が急務となりますが、 地籍調査を実施していない地域では、災害復旧にあたり、まず土地の境界の確認から始める必要があります。災害によって土地の境界を示す杭が無くなったり、移動したりしてしまった場合には、立会い等により土地所有者等の確認を得るなど、災害復旧に着手する前に多くの時間と手間が必要となることから、被災地の復旧・復興が遅れる要因にもなります。

4. 公共用地の適正管理への支障となります

公共用地の適正管理への支障となります 市町村等では、道路や各種公共施設等、自ら所有・管理する公共用地について適正に管理する必要があり、隣地の所有者等から求められれば境界の確認事務も行っています。しかし地籍調査を実施していない地域では、境界が不明確であるために、管理すべき範囲を正確に把握できないとか、境界確認申請の件数が多くその事務処理が煩雑である等の問題が行政側に発生します。また住民側にも、境界確認申請の資料作成のためにコストがかかる等の問題が生じます。
このような問題は、地方分権一括法により法定外公共物(※)が市町村に譲与されたこともあり、市町村等にとって、より深刻な課題となっています。
※ 法定外公共物とは、道路法、河川法等の適用又は準用を受けない公共物をいい、代表的なものとして「里道」「水路」があります。

5. 適切な森林管理等への支障となります

森林は、地球環境の保全、土砂災害の防止、水源のかん養などの多面的機能を有していますが、地籍調査を実施していない山村部では、境界が不明確であることも要因となって、必要な間伐等が行われない森林も一部には見られる状況となっています。