令和6年(2024)能登半島地震に伴う地籍調査の対応について

 令和6年1月1日に発生した能登半島地震に伴い、能登半島を中心とする広い範囲で顕著な地殻変動が観測されたことを受け、国土地理院により令和6年1月5日付けで地震発生地域及びその周辺地域の基本基準点成果の公表が停止されましたが、2月15日付けで改定後の測量成果及び地殻変動の影響を補正するためのパラメータが公表されました。

 これにより、基本基準点を基礎として測量を実施する地籍調査にも大きな影響が生じることから、基本基準点の改定成果が公表された地域における地籍調査については、以下のような取り扱いとすることとしましたので、各地方公共団体等の地籍担当部局においてはご留意願います。

対象となる地域

 能登半島地震による地殻変動の影響により、以下の地域における地震発生時に実施中又は実施済であった地籍調査成果については、座標補正や再調査が必要となります。

                  
都道府県名対象市町村
群馬県長野原町、嬬恋村、草津町
新潟県長岡市、柏崎市、小千谷市、十日町市、糸魚川市、妙高市、上越市、佐渡市(旧真野町・小木町・羽茂町・赤泊村)、南魚沼市、出雲崎町、湯沢町、津南町、刈羽村
富山県富山市、高岡市、魚津市、氷見市、滑川市、黒部市、砺波市、小矢部市、射水市、舟橋村、上市町、立山町、入善町、朝日町
石川県七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋市、かほく市、津幡町、内灘町、志賀町、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町
長野県長野市、上田市、須坂市、小諸市、中野市、大町市、飯山市、千曲市、東御市、安曇野市、麻績村、生坂村、筑北村、池田町、松川村、白馬村、小谷村、坂城町、小布施町、高山村、山ノ内町、木島平村、野沢温泉村、信濃町、小川村、飯綱町、栄村

 国土地理院による基本基準点の成果改定の状況については、下記の国土地理院ウェブページをご参照ください。

https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/R6-notopeninsula-earthquake-seika.html

対象地域における地籍調査の対応について

 地震が発生した時点における地籍調査の実施状況としては、以下の5つの状況が想定されますので、それぞれの状況により対応が異なります。

① 地震発生後、新たにC工程から作業を実施する地域

 国土地理院から公表された改定後の基本基準点の成果値を使用する必要があります。地震発生前に地籍調査が終了した地区に隣接する地域において、地震前に設置された地籍図根点等の利用を検討する場合には、その成果値について、国土地理院が公表している座標補正パラメータ(以下「補正パラメータ」という。)を使用して成果値の補正及び検証測量を行った上で、与点として使用することとなります。検証測量が一定の誤差の範囲を超過した場合は、補正パラメータによる座標補正は適用できないことから、当該地域について必要な再測量を検討してください。

 なお、補正パラメータを使用した成果値の補正方法や検証測量等の方法については、「地震による地殻変動後の座標補正実施要領」に従い、これにかかる工程管理及び検査を実施することとします。

② 地震発生以前からC工程以降の作業を実施しており、全工程の作業が終了していない地域(各工程において認証者検査が終了している地域)

この場合、以下のような状況が想定されます。
 1)C工程まで終了
 2)C工程及びD工程まで終了
 3)C工程、D工程及びFⅠ工程まで終了
 4)C工程、D工程、FⅠ工程、E工程及びFⅡ工程まで終了

 上記の1)~4)のいずれの状況の場合であっても、地震発生以前に実施した測量の成果については、地震による地殻変動等により現時点において必ずしも与点として使用できるものではないことから、国土地理院から補正パラメータ及び基本基準点の成果が公表された段階で、補正パラメータを使用して成果値の補正及び検証測量を行う必要があります。検証測量が一定の誤差の範囲を超過した場合は、補正パラメータによる座標補正は適用できないことから、当該地域について必要な再測量を検討してください。

 なお、補正パラメータを使用した成果値の補正方法や検証測量等の方法については、「地震による地殻変動後の座標補正実施要領」に従い、これにかかる工程管理及び検査を実施することとします。

③ 地震発生前にG工程及びH工程まで終了している地域(都道府県による認証前の地域)

 地震に伴う地殻変動等の影響により、地震前の地籍調査による座標値等では、認証を行うことができないことから、国土地理院から補正パラメータ及び基本基準点の成果が公表された段階で、補正パラメータを使用して成果値の補正及び検証測量を行う必要があります。検証測量が一定の誤差の範囲を超過した場合は、補正パラメータによる座標補正は適用できないことから、当該地域について必要な再測量を検討してください。

 なお、補正パラメータを使用した成果値の補正方法や検証測量等の方法については、「地震による地殻変動後の座標補正実施要領」に従い、これにかかる工程管理及び検査を実施することとします。

④ 地籍調査実施済み地域(都道府県による認証が行われ登記所に地図及び簿冊を送付する前の地域)

 当該地域の地籍調査成果については、地震発生前の成果を登記所へ送付することとなります(この取扱いについては、法務省と協議済み)。

⑤ 地籍調査実施済み地域(都道府県による認証が行われ登記所に地図及び簿冊の送付が終了している地域)

 当該地域の再調査(座標補正を含む)の方法については、「地震による地殻変動後の座標補正実施要領」によるものとします。