国土調査事業十箇年計画
地籍調査(国土調査)は、国土調査促進特別措置法に基づき作成される「国土調査事業十箇年計画」に基づいて計画的に行われています。
国土調査促進特別措置法の制定
地籍調査は国土調査法が制定された昭和26年から行われていますが、調査の進捗は思わしくありませんでした。このため、地籍調査(国土調査)の計画的な実施を促進するために、昭和37年に国土調査促進特別措置法が制定されました。これに基づいて翌年の昭和38年から国土調査事業十箇年計画が策定され、長期的な視点に立った計画的な地籍調査(国土調査)が全国的に行われるようになりました。
これまでの国土調査事業十箇年計画
現在の国土調査事業十箇年計画は、令和2年5月に閣議決定された第7次計画です。これまでの計画では、地籍調査の事業量(面積)について以下のように設定され、調査の促進が図られてきました。
計画期間 | 地籍調査計画面積 (㎢) |
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第1次計画 | 昭和38~47年度 | 42,000 |
第2次計画 | 昭和45~54年度 | 85,000 |
第3次計画 | 昭和55~平成元年度 | 60,000 |
第4次計画 | 平成2~11年度 | 49,200 |
第5次計画 | 平成12~21年度 | 34,000 |
第6次計画 | 平成22~令和元年度 | 21,000 |
第7次計画(現在の計画) | 令和2~11年度 | 15,000 |
※計画に記載する事業量としては、上記の地籍調査の面積のほか、第1~6次計画においては基準点測量の点数を、第6次計画からは基本調査の面積を位置付け、取組を推進。
第7次国土調査事業十箇年計画について
自然災害の多発や、人口減少の本格化に伴う所有者不明土地問題の顕在化といった社会経済状況の中にあって、適正な土地の利用・管理の確保がこれまで以上に求められており、そのための基礎データを整備する観点からも、土地の境界を明確にする地籍調査の推進が一層重要になっています。一方、地籍調査の進捗は、調査対象地域全体で52%(令和元年度末時点)にとどまっており、所有者不明土地問題等により調査環境が困難化する中で、地籍調査の円滑化・迅速化が求められています。
このため、国土交通省では、適正な土地の利用及び管理を確保する施策の総合的かつ効率的な推進を図るとともに、地籍調査を円滑化・迅速化するための措置等を一体的に講ずるべく、令和2年の通常国会に「土地基本法等の一部を改正する法律案」を提出しました。同法案においては、国土調査法及び国土調査促進特別措置法等の改正により、令和2年度からの新たな十箇年計画を策定することや、地籍調査の円滑化・迅速化を図るため、所有者探索のための固定資産課税台帳等の利用や地方公共団体による筆界特定の申請などの調査手続の見直し、都市部における官民境界の先行的な調査や山村部におけるリモートセンシングデータを活用した調査などの地域特性に応じた効率的調査手法の導入を行うこと等が盛り込まれ、同年3月27日に成立しました。また、改正法に基づき、同年5月26日には、令和2年度を初年度とする「国土調査事業十箇年計画」(第7次計画)が閣議決定されました。
第7次国土調査事業十箇年計画の概要は以下のとおりです。
地籍整備の推進を図るために実施する取組について
地籍調査の円滑化・迅速化を図るため、令和2年3月の国土調査法改正に盛り込まれた、所有者探索のための固定資産課税台帳の利用、地方公共団体による筆界特定の申請等の新たな調査手続の活用や、リモートセンシングデータの活用など地域の特性に応じた効率的な調査手法の導入の促進を、「迅速かつ効率的な実施を図るための措置」として計画に位置付けました。また、関係省庁における連携や、有識者等の派遣や国の基本調査による普及等を通じた地方公共団体等への継続的な支援により、新たな手続や手法の導入促進に取り組むこととしています。
これにより、第6次計画の実績事業量(約1万㎢)と比較して1.5倍の進捗を目指すよう、計画事業量を十箇年間で15,000㎢としています。また、調査の実施にあたっては、防災対策、社会資本整備、都市開発、森林施業・保全、所有者不明土地対策等の施策と連携し、戦略的に進めていくこととしています。
このほか、民間等の測量成果も活用した地籍整備の推進や、地域の実情を踏まえた対策等を講じることによる未着手・休止市町村の解消等について位置付けています。
進捗率目標の設定について
第7次計画では、優先度の高い地域から地籍調査を実施するとともに、調査の進捗を分かりやすく説明する観点から、これまで用いられていた「調査対象地域での進捗率」に加え、新たに「優先実施地域での進捗率」を提示することとしました。優先実施地域とは、調査対象地域から土地区画整理事業等の実施により地籍が一定程度明らかになっている地域及び大規模な国・公有地等の土地取引が行われる可能性が低い地域を除いた地域としています。
調査対象地域での進捗率は、現在の52%から10年後に57%(約6割)、優先実施地域での進捗率は、現在の79%から10年後に87%(約9割)とすることを目指すこととしています。