効率的手法導入推進基本調査

                

 ここでは、地籍調査の基礎とするために国の機関が行う基本調査の一つである効率的手法導入推進基本調査について説明します。

国の機関が行う基本調査とは

 国の機関が行う基本調査とは、国土調査法第2条第1項第1号に基づく基本調査であり、地籍調査の基礎とするために行う土地の測量を実施する調査です。
 国の機関が行う基本調査は基準点測量と地籍基本調査に区分され、効率的手法導入推進基本調査は地籍基本調査の一つです。

国の機関が行う基本調査の区分

                

            

効率的手法導入推進基本調査

 国土交通省では、地籍調査が遅れている都市部や山村部における地籍調査を促進するため、都市部では都市部官民境界基本調査、山村部では山村境界基本調査を平成22年度に創設し、地籍調査に必要な基礎的情報を国が重点的に整備して市町村を支援してきました。
 令和2年、地籍調査の円滑化・迅速化を図るため、国土調査法等が改正され、これに基づき、新たな調査手続きの活用や地域の特性に応じた効率的な調査手法の導入を促進する第7次国土調査事業十箇年計画が定められました。この第7次国土調査事業十箇年計画策定等を踏まえ、都市部官民境界基本調査及び山村境界基本調査は、令和2年度から「効率的手法導入推進基本調査」となりました。「効率的手法導入推進基本調査」は、国が地籍調査の円滑化・迅速化に資する先進的・効率的な手法を活用して地籍調査に役立つ基礎的な情報を整備し、当該手法の適用事例・技術的課題への対応方法等を蓄積・普及させることで、市町村等における効率的な地籍調査手法の導入推進を図るものです。
 現在、効率的手法導入推進基本調査では、リモートセンシング技術を活用した手法(以下「リモセン活用型」という。)やMMS(モービルマッピングシステム)を活用した手法(以下「MMS等活用型」という。)の導入を進めています。

            

(1)リモセン活用型

 リモセン活用型は、航空機から撮影された高精度の空中写真や、航空機に搭載したレーザ機器を用いて計測した地形データなど、対象物を遠方から撮影・計測したリモートセンシングデータを活用した調査手法です。
 リモセン活用型では、リモセンデータを活用して作成した筆界案を用いることで、これまで山の中の現地で行っていた立会いを集会所等で実施することが可能となり、立会いに必要な期間や人員の削減等の効率化を図ることができます。また、航空機等により広範囲のデータを一度に計測することができ、リモセンデータにより机上で座標値の計測等も可能となることから、現地測量コストの削減等の効率化を図ることができます。
 さらに、これまでは、現地立会いによる境界確認や測量作業を実施する際に、急峻な地形等による滑落や危険生物(熊、マダニ、大型のハチなど)との遭遇等の危険性がありましたが、リモセン活用型では、空中写真や航空レーザ測量成果を用いることにより、現地での作業を最小限にとどめ、立会いや測量作業の危険性も回避することができます。

リモセンによる効率化

 リモセン活用型と従来手法の具体的な変更点は、従来手法の多角測量、細部測量、調査点測量、一筆地測量が航空測量となった点です。航空測量成果から、地形や植生等がわかる空中写真、微地形表現図、樹高分布図、林相識別図の4種類の図面を作成することができるため、様々な資料で筆界案を推定することができ、集会所等で土地の境界を確認いただくことが可能となっています。

                                 

リモセン新手法と従来手法

(2)MMS等活用型

 MMS等活用型は、車両等に3Dレーザスキャナ・カメラ及び自車位置姿勢データ取得装置を搭載し、移動しながら道路及び周辺の地形・地物等を計測するシステムを用いた調査手法です。
 MMS等活用型では、これまでの主な調査成果である地図と簿冊に加え、MMSで撮影・計測した写真、三次元点群データ及び既存測量成果等の活用により、遠方に居住していて立会いが困難であった土地所有者等に対して筆界案を送付して土地の境界の確認を得ることが可能となり、立会いに必要な期間や人員の削減等の効率化を図ることができます。また、MMSを掲載した車両で走行しながら計測するため、広範囲の地形データを短時間で計測可能であり、現地測量コストの削減等の効率化を図ることができます。

MMSによる効率化

 現在のところ、効率的手法導入推進基本調査においては、街区点測量(現況測量の工程)でMMSを活用しています。街区点測量で計測するのは、道路構造物(道路縁、歩道、橋梁等)、道路付属物(街灯、ガードレール等)、道路占用物(電柱、マンホール等)、兼用工作物(踏切道等)、その他(ブロック塀等)等の地物です。
 MMSを活用した街区点測量は、「基本調査におけるMMS活用マニュアル」を参考にして実施しています。後続の地籍調査で民民境界を計測する際に必要な地籍基本三角点、地籍基本多角点、地籍基本細部点及び復元測量については、これまでのように効率的手法導入推進基本調査準則に則った方法(TS法、GNSS法等)で実施します。
 なお、復元測量工程の一部(図上街区点測量)は測定対象が杭や鋲などとなるため、MMSを活用した計測の難易度が高いものの、MMSの活用により効率化できる可能性があり、今後の活用を目指すこととしています。

                                 

MMS新手法と従来手法

効率的手法導入推進基本調査作業規程準則等

効率的手法導入推進基本調査の作業内容を定めた準則や運用基準等は、以下からダウンロードできます。

                
            

効率的手法導入推進基本調査の基本的な流れ

効率的手法導入推進基本調査の基本的な流れを下図に示します。

効率的手法導入推進基本調査の流れ

地籍基本三角点等の廃止について

測量計画機関として地籍基本三角点等を廃止する場合には、以下に掲載している様式により、通知(正1部)をお願いします(提出先は以下のとおり)。

地籍基本三角点等廃止に関する問い合わせ窓口(リモートセンシングデータ活用型)

〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
国土交通省不動産・建設経済局地籍整備課基本調査担当者宛て
電話番号 03-5253-8111(代表)

            

地籍基本三角点等廃止に関する問い合わせ窓口(MMS等活用型)

            
都道府県名 地籍基本三角点等廃止に関する問い合わせ窓口(MMS等活用型)
北海道 〒060-8511 札幌市北区北8条西2丁目(札幌第一合同庁舎)
北海道開発局 開発監理部 用地課 地籍整備係
電話番号 011-709-2311
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
〒980-8602 仙台市青葉区本町3-3-1(仙台合同庁舎B棟)
東北地方整備局 用地部 用地企画課 支援係
電話番号 022-225-2171
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
山梨県
長野県
〒330-9724 さいたま市中央区新都心2番地1(さいたま新都心合同庁舎二号館)
関東地方整備局 用地部 用地企画課 地籍整備係
電話番号 048-601-3151
新潟県
富山県
石川県
〒950-8801 新潟市中央区美咲町1-1-1(新潟美咲合同庁舎第一号館)
北陸地方整備局 用地部 用地企画課 地籍整備係
電話番号 025-280-8880
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
〒460-8514 名古屋市中区三の丸2-5-1(名古屋合同庁舎第二号館)
中部地方整備局 用地部 用地企画課 支援係
電話番号 052-953-8105
福井県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
〒540-8586 大阪市中央区大手前1-5-44(大阪合同庁舎第一号館)
近畿地方整備局 用地部 用地企画課 地籍調査係
電話番号 06-6942-1141
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
〒730-0013 広島市中区八丁堀2-15
中国地方整備局 用地部 用地企画課 地籍調査係
電話番号 082-221-9231
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
〒760-8554 高松市サンポート3-33
四国地方整備局 用地部 用地企画課 地籍調査係
電話番号 087-851-8061
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2-10-7(福岡第二合同庁舎)
九州地方整備局 用地部 用地企画課 地籍整備係
電話番号 092-471-6331
沖縄県 〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち2-1-1
沖縄総合事務局 開発建設部 用地課 支援係
電話番号 098-866-1902
            

書面による申請等の廃止について

 国土調査法第17条第2項に基づいて地図及び簿冊の誤りを申し出る場合や、同法第30条第3項に基づいて標識等の移転を請求する場合は、電子メールにて書類を提出いただくことも可能です。
 基本調査に関してこれらの申出等をする場合は、5.の地籍基本三角点等廃止に関する届出・問い合わせの窓口にお問い合わせください。