地籍調査の着手・再開の推進

現在、多くの市町村で地籍調査が実施されている一方で、調査に未着手の市町村や、過去には地籍調査を実施していたものの現在は調査を休止している市町村が、全体の約2割あります。

            
  • 全国の地籍調査の実施状況
  • 地籍調査の着手、再開、休止、完了状況
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    地籍調査を全国で進めていく上で、未着手・休止市町村を解消することも課題の一つとなっており、現在の第7次国土調査事業十箇年計画においては、「地籍調査に未着手の市町村又は休止中の市町村について、それぞれの地域の実情を踏まえた対策等を講じることにより、その解消を目指す」としています。

    地籍調査の実施に当たっての予算・人員体制の確保

    地籍調査を実施する上での主な課題の一つとして、実施主体における予算や人員体制の確保が挙げられます。 実際に地籍調査を実施している市町村を見ると、その規模や取組み内容は様々であり、市町村の中には、限られた予算・人員の中で、自らの予算・体制の確保に加え、民間法人への委託や近隣の地方公共団体との連携などの工夫を組み合わせて、調査を実施している例も見られます。

    【地籍調査の事業費規模別の市町村数(令和4年度)】

    ※市町村が実施主体となっている調査地域の令和4年度市町村別事業費を集計(令和元年度補正予算分を含む)。

    【市町村の地籍調査担当職員数(令和4年度)】

    注:民間への包括委託(10条2項委託)とは 地籍調査に精通した民間事業者等の法人に対し、地籍調査作業の全般(罰則を伴う立会い請求等の公権力の行使を伴うものなどを除く。)にわたって委託することを可能とする、国土調査法第10条第2項の制度。

    【新たに地籍調査に着手した事例】

    ○民間への包括委託制度を活用して着手 埼玉県横瀬町では、平成28年1月に秩父地域で開催された地籍調査に関する講演会を契機に、町として地籍調査を推進する方向性を検討しました。そして、平成28~30年度にかけて、地籍調査を実施する人員体制や予算、事業計画等に係る調整・準備を行い、令和元年度から、民間への包括委託(10条2項委託)制度を活用して調査に着手しました。

    ○県や近隣市町との連携により着手 静岡県の賀茂地域の6市町(下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町、西伊豆町)は、県の支援・指導の下、地籍調査を共同に実施する体制を整備しました。これにより、人員確保の負担と知識・経験不足の課題に対応することで、地籍調査に未着手・休止中であった5市町※1が、平成29年度から調査に着手しました。

    市町村を支援する国の取組

    地籍調査の実施には、技術的かつ法律的な知見が必要となることから、調査の概要や法律の規定、費用負担、測量・一筆地調査の進め方などについて、講義及び実習を通じて理解を深めることができるよう、国や各都道府県等において、都道府県や市町村の地籍調査担当者を対象とした様々な研修を実施しています。 また、国では、市町村等からの要請に応じて、地籍アドバイザー(地籍調査に関する高度な知識を持った専門家で、市町村等における地籍調査実務の経験者、土地家屋調査士、測量士等がアドバイザーとして国に登録)を派遣しており、地籍調査の着手・再開を希望する市町村においても、個別の事情に応じた助言を受けることが可能です。

    地籍調査を実施している市町村等を支援する活動